top of page

全国青年司法書士協議会の声明

更新日:6月9日

全国青年司法書士協議会の声明

2024年2月15日、全国青年司法書士協議会は「離婚後の共同親権導入を含む民法等改正法案について十分かつ慎重な議論を求める会長声明」を発表しました。以下に声明の要点をまとめます。


離婚後共同親権導入に関する声明


令和6年1月30日、法制審議会家族法制部会(以下、「部会」)において「家族法制の見直しに関する要綱案」(以下、「本要綱案」)が、複数の委員からの反対票がある中、全会一致が慣行であるところを異例の多数決で取り纏められ、同年2月15日、法制審議会第199回会議において採択されました。これを受け、特に離婚後共同親権の導入に対する反対意見が多く出されています。以下は、その理由についての詳細です。


1. 子どもの利益や権利擁護の視点の欠落


法務大臣の諮問第113号において「子の利益の確保等の観点から」との記載があるにもかかわらず、部会では親の立場を中心に議論が行われ、子どもの利益確保や立場を中心にした議論が不足していると指摘されています。


部会第8回会議では棚村委員が資料「子の養育の在り方に関する実証的調査アンケートの概要」を提出しました。これによると、未成年時に両親の離婚・別居を経験した20代・30代の回答者の多くが、離婚・別居後に「平穏・安全な生活」を取り戻していることが示されています。離婚後共同親権が導入されると、元夫婦間の高葛藤が増え、子どもの生活が再び不安定になる可能性があります。


また、子どもの意見表明権が明記されなかったことも問題です。子どもは人格を持つ主体であり、離婚によって最も影響を受ける存在です。子ども本人による意見表明の権利を保障する制度設計が不可欠です。


2. DV被害者等の保護の観点の欠落


日本では男性から女性へのDVが多く見受けられます。離婚後共同親権が導入されると、DV被害者やその子どもが加害者から逃げることが難しくなる恐れがあります。協議離婚においては第三者によるチェック機能が働かず、婚姻中の支配関係が選択に影響を及ぼす可能性が高いです。


さらに、裁判上の離婚においても、DVや虐待について慎重なスクリーニングが行われる保証はなく、DV被害者からも不安の声が挙がっています。DVや虐待が適切に認定されない現在の制度下では、安易に見過ごされる可能性が高く、離婚後共同親権が採用されるケースが発生する危険性があります。


3. 単独親権行使の要件である「急迫の事情」の不明確さ


本要綱案第2の1(1)ウに「急迫の事情」が掲げられていますが、具体的に何が該当するかは不明確です。DVやハラスメントを受けた親が避難のために子連れ別居をする場合、その行為が「急迫の事情」に該当するかどうかの判断が難しく、訴訟提起が頻発する恐れがあります。このような状況では、避難への委縮効果が生じ、子どもの安全が脅かされる可能性があります。


4. 事実上、対等な立場による協議が不可能であること


日本では男女間のパワーバランスの不均衡が大きく、離婚に際して金銭的に優位な親が有利な内容での取決めを行うことが容易です。共同親権行使の協議の際に養育費義務者が養育費の中断を交渉材料にすることも考えられます。協議が不調の場合には家庭裁判所が特定事項に係る単独親権行使者を決定する制度が設けられていますが、全ての人が容易に司法にアクセスできるとは限りません。


提案

  1. DVや虐待を的確に認定し、安全安心を第一義とする制度運用の徹底と社会環境の整備

  2. 子どもが安心して相談や意見表明できる機関の整備

  3. 家庭裁判所における適切な調停、審判のための研修体制の強化と人員拡充

  4. 各地域での行政、医療、教育、福祉、配偶者暴力相談支援センター、家庭裁判所、弁護士会や司法書士会等の連携強化

  5. 子育て、税制、社会保障施策、貧困、就労、教育等の総合施策として、省庁横断的な検討と多職種による連携体制の構築と改善プログラムの策定


 

おやこハピネスは、今後も全国青年司法書士協議会の動向に関心を持ち、注意深く見守っていきます。


---


全国青年司法書士協議会の声明全文については、公式サイトまたは関連資料をご参照ください。


離婚後共同親権の導入に反対する会長声明

Comments


bottom of page